

特別支給の老齢厚生年金の請求をすると、65歳になったときに年金機構からハガキが届きます。
今回は年金ハガキの書き方や注意点について、年金専門家の社労士がわかりやすく解説します。
出し忘れると年金がもらえなくなることがあるので、注意してくださいね。
【著者プロフィール】
・社会保険労務士 田島透
・YouTubeで年金チャンネルを運営中
・チャンネル登録者数は8万人超
目次
65歳になったらハガキ(年金請求書)を返送しよう

特別支給の老齢厚生年金を請求している人は、65歳になったら届くハガキ(年金請求書)を年金機構に返送する必要があります。
このハガキは配偶者加給年金がない人と、配偶者加給年金がある人で内容が変わってきます。

- 左側:配偶者加給年金がない人のハガキ
- 右側:配偶者加給年金がある人のハガキ
違いは「加給年金対象者の欄があるかないか」です。
このハガキが65歳の誕生月に届き、当月内に返送する必要があります。
返送しないと年金が一時的に停止されてしまうのでご注意ください。
配偶者加給年金については、こちらの記事で詳しく解説しています。

また、配偶者加給年金とセットで覚えておきたい振替加算については、こちらの記事で解説しています。
ハガキを正しく書くために、こちらの内容も抑えておきましょう。

ハガキ(年金請求書)の共通項目の書き方

ハガキに共通する項目の書き方をご説明します。

赤枠の中にはマイナンバーもしくは基礎年金番号、生年月日、住所、名前を書いてください。
青枠の中は、共済組合に入ったことがある人だけ記入してください。
管掌期間は左側の赤で囲われた部分から選びましょう。
青枠の右の欄には、年金証書記載のある記号番号を書いてください。
繰り下げ希望欄の書き方

ハガキの下部にある「繰り下げ希望欄」の書き方をお伝えします。
65歳で年金をもらわず遅らせることにより、年金を増額することを「繰り下げ」といいます。
繰り下げる際は老齢基礎年金、老齢厚生年金を別々に手続きすることが可能です。
年金の繰り下げについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

例をいくつか見てみましょう。
ケース①老齢厚生年金のみ繰り下げる

老齢基礎年金を65歳からもらって、老齢厚生年金を繰り下げる(遅らせる)場合は、右側の「老齢厚生年金のみ繰り下げ希望」に丸をつけて返送してください。
ケース②老齢基礎年金のみ繰り下げる

老齢厚生年金を65歳からもらって、老齢基礎年金を繰り下げる(遅らせる)場合は、左側の「老齢基礎年金のみ繰り下げ希望」に丸をつけて返送してください。
ケース③両方繰り下げる

例老齢厚生年金と老齢基礎年金を両方繰り下げる場合は、ハガキを返送しないでください。
ケース④どちらも繰り下げない

どちらも繰り下げをしない場合には、繰り下げ希望欄には丸をせずに返送します。
繰り下げ希望時の注意点

繰り下げを希望する際の注意点も見てみましょう。
繰り下げを希望したら、年金をもらいたいタイミングでの手続きが必要です。
必要な手続きは以下のどちらかです。
- 66歳以降で年金をもらい始めて増えた年金をもらう
- 65歳にさかのぼって年金をもらう
さかのぼったことにより、もらっていなかった年金は一括で支払われます。
「配偶者加給年金あり」の書き方

配偶者加給年金があるときの書き方を説明します。
そもそもなぜ配偶者加給年金ありのハガキが届くのでしょうか?
それは特別支給の老齢厚生年金を請求する際に、この2枚のページを書いたからです。

- 左のページには配偶者や子供がいることを記載
- そして右のページには、配偶者や子供の生計を維持していることを記載
特別支給の老齢厚生年金を請求するときに書いておけば「配偶者がいる」という認定を受けられることになります。
その結果、配偶者加給年金ありのハガキが届くのです。
注意点①加給年金対象者の名前を必ず書く

ハガキを記入するときは、加給年金対象者の配偶者や子供の名前を書き忘れないように注意してください。
加給年金がつかなくなってしまいます。
注意点②配偶者がいないなら名前は書かない

もうひとつ注意したいのは、ハガキが届いた段階で配偶者がいないケースです。
例えば離婚をされているような場合には、逆に配偶者の名前を書いてはいけません。
加給年金が過払いになってしまう可能性があります。
注意点③特別支給の老齢厚生年金請求後に結婚した場合

特別支給の老齢厚生年金請求後に結婚した場合も注意が必要です。
例
・配偶者加給年金の条件を満たす人
・65歳前に年金を請求した後、65歳の誕生日の前々日までに結婚していた[/box05]
このケースは、加給年金用のハガキが届きません。
別途、配偶者加給年金の手続きが必要になりますので気を付けてください。
加給年金がある人の繰り下げの注意点

最後に加給年金がある人の繰り下げの注意点です。
加給年金は老齢厚生年金とセットなので、厚生年金を繰り下げると停止になります。

老齢厚生年金の上に黄色の配偶者加給年金が載っていますが、老齢厚生年金を繰り下げることによって、配偶者加給年金も停止になってしまいます。
39万円の支払が停止されるので、加給年金がある方はご注意ください。
まとめ
今回は65歳の時に届く年金ハガキの書き方を解説しました。
繰り下げや加給年金の有無によって、書く欄は一人一人違います。
ご自身のケースに当てはめて間違いのないよう注意してくださいね。